色にも出せず
明治初頭。吉原で二階廻しの仕事をしている一ノ介は:女をひどい目に合わせて生きる自分に暗い気持ちを抱えていた。:それを表面上は隠して過ごしていたある日、:花魁よりも着物が見たいという変わり者の客・藤二郎が店にやってくる。:その純粋な目も行動も癪にさわり二度と関わらないと思っていたが、:藤二郎は境遇が重なる一ノ介に好意的で…。: →藤二郎は一ノ介に友達になろうと言ってきて…。::真っ直ぐな藤二郎と誰にも心を開けずにいた一ノ介。:二人の出会いはやがて一ノ介に初めての気持ちをもたらし――。